「付き添いだから関係ない」は大間違い。介護家族も受けられる”知られざるサービス”とは?

番号 136

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「待合室で2時間…」その時間、もったいなくありませんか?

「母の病院だから、私は待つだけ。」

そんなふうに思っていたAさん(58歳)は、診察のたびに待合室でスマホを眺めて過ごしていました。

最初のうちはそれでよかったのです。
ただ座って、呼ばれるのを待つだけ。

ところが、通院が月2回、3回と増えていくうちに、少しずつ状況が変わっていきました。

母の物忘れは進み、同じ話を何度も繰り返す。
薬の管理も難しくなり、Aさんがすべてを引き受けるようになっていきました。

「ちゃんとしなきゃ」
「私がやらないと」

そう思えば思うほど、気づけばAさんの中に“余裕”がなくなっていきました。

そしてある日、物忘れ外来の付き添い受診のあと、看護師から声を掛けられます。

「ご家族の方も、少しお話聞いていかれますか?」

最初は戸惑いながらも、Aさんは診察室の横の小さな面談室に通されました。

そこで初めて、言葉が止まらなくなります。

「最近、夜眠れないんです」
「親の物忘れにイライラしてしまって…」
「怒ってしまったあとに、すごく後悔して…」
「正直、自分も限界かもしれません」

話しているうちに、涙が出てきました。

“親の病院なのに、自分の話をしていいのか”
そんな気持ちもありましたが、医師は静かに聞いたあと、こう言いました。

「これは、お母さんの問題だけじゃなくて、あなたのストレス反応もかなり強いですね」

そして同じ病院内の心療内科へとつながることになりました。

後日、Aさんはこう振り返ります。

「親の病院なのに、自分のことまで見てもらえるなんて思っていなかった」
「むしろ、私の方が先に限界だったんだと気づきました」

実は付き添い家族も利用できるサービスはこんなにある

Aさんのように「自分は関係ない」と思っている人ほど、実は使える支援を見逃しています。

例えば、こんなサービスがあります。

・介護保険や施設の選び方の相談
・介護疲れやストレスについての相談
・認知症の接し方のアドバイス
・介護休業制度や仕事との両立相談
・家族向けの介護教室
・地域の介護者サロンや交流会の紹介
・成年後見制度や相続に関する窓口案内

特に見落とされやすいのが「家族側のケア」です。

実際には、病院や地域包括支援センターでは

「本人の診察」と同じくらいの頻度で
「家族の相談」が行われています。

さらに、ここから重要な流れがあります。

相談の中でよく出てくるのが、

・「最近、外に出てしまうことが増えて心配」
・「一人にしておくのが不安」
・「夜中に徘徊してしまう」

といった“見守りの不安”です。

こうした相談をきっかけに、次のような支援につながることがあります。

・見守りサービス(センサー・GPS・安否確認)
・地域の見守りネットワーク
・駆けつけ支援(異変時の訪問・確認)
・緊急通報システム(ボタン一つで連絡)

そして、ここで意外と知られていない存在が「民生委員」です。

民生委員とは、地域ごとに配置されている厚生労働大臣から委嘱されたボランティアで、地域の高齢者や子育て世帯などの相談役を担っています。

専門職ではありませんが、地域の事情に詳しく、

・一人暮らし高齢者の見守り
・異変時の声かけや状況確認
・必要に応じた行政や包括支援センターへのつなぎ

といった役割を担っています。

つまり、民生委員は「地域の最初の相談窓口」であり、
駆けつけや見守りの“入口”になる存在でもあります。

「最近ちょっと心配で…」という段階でも相談できるのが特徴です。

つまり「相談」で終わるのではなく、
“見守り・駆けつけ支援につながる入口”になっているのです。

さらに認知症外来や地域包括支援センターでは、こうした相談をきっかけに

・認知症カフェ
・家族会
・介護者向けの勉強会

へと自然につながるケースも少なくありません。

“ひとりで抱えない仕組み”がちゃんと用意されている

たとえば「認知症カフェ」。

名前だけ聞くと軽い集まりに見えますが、実際に行くと雰囲気はまったく違います。

そこにいるのは、同じように親や配偶者を介護している人たち。

最初はみんな少し緊張しています。

でも、誰かがぽつりとこう言うと空気が変わります。

「夜中に何度も起きてしまって…」

すると別の人がすぐに返します。

「うちも同じです。最初は本当にきつかったです」

たったそれだけのやり取りなのに、張りつめていた気持ちが少し緩む人がいます。

「自分だけじゃなかったんだ」

その一言で、涙が出ることもあります。

そして実は、この認知症カフェにはもう一つ大事な役割があります。

それが**「認知症サポーター」につながる入口**になっていることです。

認知症サポーターとは、特別な資格ではなく、講座を受けることで誰でもなれる“地域の理解者”です。

カフェや地域の集まりでは、

・認知症の正しい理解
・接し方の基本
・困ったときの相談先

などが紹介されることが多く、そこから自然にサポーター養成講座へ案内されることもあります。

つまり、認知症カフェは「話す場所」であると同時に、
地域の支え手を増やす入口にもなっています。

さらに地域によっては、認知症の人を支える“見守りボランティア”や“駆けつけ支援”の仕組みもあります。

たとえば登録された地域の協力者が、

・徘徊時の声かけ
・家族不在時の見守り
・異変の早期連絡

などを担うケースもあります。

実際にあった例では、夕方に外へ出てしまった高齢者を、近所の民生委員がたまたま見守り活動中に発見し、声をかけて保護し、家族に連絡したことで大事に至らなかったケースもあります。

つまり介護は「家族だけで背負うもの」ではなく、

地域の中で少しずつ分担される仕組みが存在している

ということです。

ただし問題は、それを“知らないまま孤立してしまう人が多い”ことです。

介護で一番倒れやすいのは、やっぱり介護する家族です

介護が長くなるほど、親より先に家族が体調を崩すケースは珍しくありません。

実際、厚生労働省の調査では、介護を理由に仕事を辞める「介護離職」は年間約10万人規模にのぼるとされています。

仕事、家事、子育て、そして介護。

どれか一つでも大変なのに、それが同時に重なっていきます。

Aさんも最初は「まだ大丈夫」と思っていました。

でも実際には、

・夜眠れない
・常に気が張っている
・ちょっとしたことでイライラする
・誰にも相談できない

こうした状態がじわじわ続いていました。

そして多くの人が気づきます。

「親の介護をしているつもりが、自分の方が先に壊れそうだった」

だからこそ、付き添いの日は親のためだけの日ではありません。

「自分も相談していい日」

そう考えてみてください。

病院、地域包括支援センター、認知症カフェ、家族会。
そして見守り・駆けつけ支援の仕組み、民生委員、認知症サポーター。

それぞれは別々の場所に見えますが、実はすべて

“介護する人を孤立させないための入口”

です。

知らないまま我慢するか、
一度つながってみるか。

その違いだけで、これからの介護の重さは大きく変わることがあります。

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