何で私が、義理の親の面倒まで見なきゃならないの?

番号 149

# 介護録

# 大切な家族へ

「お義母さんの面倒、見てくれないか」

以前、ある女性から、こんな話を聞きました。

「私、義理の母の介護を頼まれたとき、きっぱり断ったんです」

きっかけは、夫からの突然の申し出だったそうです。

一人暮らしの義母が、年齢とともに日常生活に不安を抱えるようになった。仕事のある夫は頻繁に様子を見に行けない。そこで、妻である彼女に頼んできたのです。

「お前、しばらく母さんのところに通ってくれないか。身の回りのことを見てやってほしいんだ」

彼女は驚きました。

「あなたは行かないの?」

「俺だって仕事があるだろ。毎日は無理だよ」

「私だって仕事があるんだけど」

すると夫は、こう答えたそうです。

「でも、お前のほうが細かいことに気がつくし、母さんも安心すると思うんだよ」

結局、夫は自分の生活を変えず、妻に介護を任せようとしている。

「私を産んだ親でもないのに、何で私が面倒を見なきゃならないの?」

そう言うと、夫は不満そうに答えました。

「家族なんだから、助け合うのは当たり前だろ」

家族だから助け合う。それは分かります。でも、なぜ助け合うことになると、妻の負担が真っ先に増えるのでしょうか。

彼女は、はっきり伝えたそうです。

「私は、お義母さんの介護を引き受けるつもりはありません」

すると今度は、義理の姉から電話がかかってきたのです。

「そう思うなら、まず自分がやればいい」

義理の姉は、電話口でこう言ったそうです。

「お母さんが困っているんだから、少しくらい協力してあげてよ」

彼女が、自分にも仕事や生活があるので介護を引き受けるのは難しいと伝えると、義理の姉は、さらにこう続けました。

「でも、お母さんもあなたを慕っているし、家も近いじゃない。それに、あなたはパートだから、仕事も融通をきかせやすいんじゃない?」

彼女は、思わず言葉を失ったといいます。

義母に慕われているから。家が近いから。パートで働いているから。

それが、介護を引き受けなければならない理由になるのでしょうか。

パートだからといって、自由な時間がいくらでもあるわけではありません。自分の生活もあれば、仕事に対する責任もあります。

それなのに、義理の姉は自分の生活を変えるつもりはなく、弟の妻なら都合をつけられると考えているようでした。

そして、最後にこう言ったそうです。

「長男のお嫁さんならねぇ・・」

その一言で、彼女の我慢は限界に達しました。

「そう思うなら、まず自分がやればいいじゃないですか。自分がパートになって、お母さんの近くに住んで、育ててもらった親に第一に慕われる存在にならなきゃダメなんじゃないですか? どうして自分は今の生活を変えずに、弟の嫁である私に面倒を見させようとするんですか?」

ずっと言いたかった言葉だったそうです。

義理の姉にも仕事や家庭があることは分かります。でも、それは彼女にだって同じです。

自分の生活は変えたくない。でも、母親の介護は誰かにしてほしい。その「誰か」が、なぜ弟の妻になるのでしょうか。

彼女は、関係が気まずくなることを覚悟して、自分の意思をはっきり伝えました。

案の定、義理の姉との関係はぎくしゃくし、夫からも「言い方がきつすぎる」と責められたそうです。

それでも彼女は、ただ拒否して終わりにはしませんでした。

義母が利用できる介護サービスや相談先、施設などについて自分で調べ、情報を整理して夫と義理の姉に伝えたのです。

「私は介護を引き受けるつもりはない。でも、お義母さんが困らないように、こういう相談先やサービスがあることは分かったよ。必要なら、あなたたちで相談してみて」

すると、夫が相談先に連絡し、義理の姉も母親の今後について具体的に考え始めたそうです。

彼女がすべてを引き受けるのではなく、夫と義理の姉が自分たちで動くようになったのです。

手伝うことと、背負うことは違う

その後、夫と義理の姉は、義母の生活をどう支えていくか、自分たちで相談するようになったそうです。

義母に必要な支援を考え、相談先につながり、家族として何をすべきかを話し合う。

義理の姉との関係は、以前のようには戻っていないかもしれません。それでも彼女は、自分の選択を後悔していないといいます。

「最初は、私が冷たい人間なのかなって悩みました。でも、私が全部引き受けなかったからこそ、夫も義理の姉も、自分たちで動くようになったんだと思います」

その言葉が、私は心に残りました。

介護が必要になれば、家族が協力し合うことは大切です。

けれど、家族だからという理由で、誰か一人の生活や将来を犠牲にしてもいいのでしょうか。

情報を調べて伝えることも、相談先を紹介することも、立派な協力です。ただし、その先の手続きや判断、日々の介護まで、すべてを引き受ける必要はありません。

「手伝うこと」と「自分がすべて背負うこと」は、違います。

もし、あなたが同じ立場だったら、どうするでしょうか。

周囲との関係を壊したくなくて、無理をして引き受けますか。それとも、自分にできることとできないことを伝え、家族自身が動くきっかけをつくりますか。

「何で私が、義理の親の面倒まで見なきゃならないの?」

そう思ったとき、自分の気持ちを押し殺す必要はありません。

誰か一人が犠牲にならなくても、介護を支える方法はあります。

大切なのは、嫁だからという理由で押しつけるのではなく、家族それぞれが自分の役割を考え、動くことなのだと思います。

その他のコラム

もっと見る

TAGタグから探す

AI介護相談